2013年6月19日水曜日

アドテクな皆さんへ

アドテクな皆さんへ 


このブログをもって僕のエンジニアとしての最後の仕事とする。 

まず、僕のエンジニアとしての仕事ぶりを評価するために、アドテク業界を発展させたかよりも、顧客の利益を増やしたかという観点で見て貰いたい。 


以下に、アドテクについての愚見を述べる。 

アドテクの発展を考える際、第一選択はあくまで「顧客の創造」であるという考えは今も変わらない。

しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであるように、手段が目的化してCPAを評価軸にして値が低くなれば全ての問題は解決するといった営業トークがしばしば見受けられる。

その場合には、顧客のマーケティングを全体俯瞰して、CPAが下がると同時に掛けるコストも下げることで利益幅が増大することが欠かせないのだが、残念ながら未だ満足のいく成果には至っていない。 

これからのアドテクの飛躍は、CPAという評価軸やアトリビューションという単語に紛らわされずに、あくまでマーケティングの施策の1つとしてそれらの単語があり、本質はマーケティングを通じた「顧客の創造」との理解にかかっている。 


僕は、このブログを見る皆さんがその一翼を担える数少ないアドテク関係者であると信じている。

能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。 
君にはデジタル・マーケティングの発展に挑んでもらいたい。

遠くない未来に、デジタル・マーケティングによる企業の発展がこの世から欠かせなくなることを信じている。
ひいては、僕の意見を上司にお伺いを立てた後、君の仕事の目標として役立てて欲しい。

データは生ける師なり。 

なお、自らアドテクの第一線にある者が技術的課題を解決できず、エンジニアとしてのキャリア・ステップを諦めることを心より恥じる。                                                 


                                           アドテクなかのひと


そう、人事異動の季節であります。(うちだけ?)

2013年6月16日日曜日

アドテクノロジーの人たちは「広告」を知るべきか?

横山氏が、なかなかエキサイティングなエントリーを掲載している。


アドテクノロジーの人たちが「広告」を知らないということ ~応援しているからこそちょっと厳しいことを言うと・・・~


基本的におっしゃられている事は正しいと思うのだが、「なかのひと」的な目線で言えば少し違った見方も出てくる。

それは、誰に向かって言っているか?という点だ。





別に言うまでも無い話だが、アドテクを名乗っている企業のうち、全てを内製で賄っている組織はいったいどれくらいいるのだろう。

さらに言えば、アドテクを名乗っている企業のうち、プログラム知識も持ち、かつ現場に出て設計・実装が行えるリーダーがいる組織はいったいどれくらいいるのだろう。


その殆どが、協力会社や、オフショア先まで含めたスケールメリットを活かして、開発力を補っているのではあるまいか。

はっきり言って、協力会社や外部ベンダーまで巻き込み、氏が指摘するような「単にプロダクトアウト型の提案をするのではなく、ソリューションを提供するパワー」を全員に求めるのは、沈みゆくタイタニックに残る覚悟を決めた船長に生きることを説得するより難しいように思えてならない。

彼らにとってしてみれば、言われた通りのプロダクトが作れればお金が貰えるわけだし、納入したソフトウェアやミドルウェアが要求を満たすことが最優先で、「「広告」や基本的な「マーケティング」を知る努力」を求めるのは酷だと思うのだ。

そこまで求めるとならば、彼らはいとも簡単に仕事を変えるだろう。彼らにとって忠誠を誓うのは自らの技術であり、勤め先の企業では無い





氏の言うような、「広告コミュニケーションの経験者が、テクノロジーをおぼえるのか、テクノロジー側の人が広告コミュニケーションをおぼえるのか、双方に道があるようにしなければならない」という言葉を、私は実は信用していない。

アレルギーのようなものかもしれない。広告業界の人はサラリと嘘をつく。DNAに刻まれた因縁が、騒いでいるのかもしれない。

エンジニアが広告コミュニケーションを理解することはできても、その逆は無いだろう。アドテク業界でも、その道を歩んでいる人を1人しか知らない。

そもそも、そのテクノロジーというのは何を指すのか。まさか、広告コミュニケーションの経験者が、JAVAの言語でRTBを構築するという話では無かろう。テクノロジーを理解すると、テクノロジーができるには大きな断絶がある。

結局、せいぜいがテクノロジーを覚えたとしても、現場に覚えたての技術用語を取りだして、0.1秒以内にレスポンスを返す為に何とかしろよ!とエンジニアに向かって言うだけではあるまいか。

そして、そういうエンジニアに向かって「あいつ等は所詮、マーケティングを解っていない」と言っているのが現状―そういう見方をしている。





アドテクに働く人間は、マーケティングを知っているべきだろう。しかし、それは一部の、例えばアーキテクチャや、プロダクトマネージャなどの一部の人間だろう。

氏のエントリを読んだ、いわゆる偉い人が、協力会社まで巻き込んでマーケティングの勉強会を開催するような事態にならないことを願う。

彼らが貢献すべき領域はあくまでテクノロジーだからである。


2013年6月9日日曜日

アドテック九州 カンファレンスまとめ(個人的感想含む)2日目

ローカル・ビジネス活性化:地方都市はどう生き抜く!?

「地方」とはどういう存在か。
 ⇒デジタルマーケティングが手つかずの市場である
 ⇒一方で、マーケティングが下手くそである
  ⇒情報発信が下手くそ
  ⇒商品と宣伝が分断されている!
   ⇒それを狙った企業が地方に最近支社を開設し始めている


○中小は基本的に都市と比べて単価は低い
 ⇒都市圏のサービス内容では、地方はオーバースペック
 ⇒ただし効率は落とせない
  ⇒中央のパッケージがまるまる地方に当て嵌まる時代じゃない!
  ⇒地方には地方のマーケティングがある

○中央のマーケティングで地方をコントロールする時代じゃない!
 ⇒地方という言葉自体が、中央から見て「地方」と言うだけに過ぎない
  ⇒それに甘んじている地方の「思考停止」も悪い!
  ⇒一方で、「地方」自身が自分たちでやろうとしている流れもある
   ⇒「地方」のインハウス

○中央にぶら下がっているだけでは生きていけない
 ⇒「地方」の価値を再定義して、「地域」を意識したマーケティングが必要

営業とマーケティングの双方を「理解」できる専門職が今後求められる
 ⇒CMO?
  ⇒もっと現場レベルで必要ではないか?





ビッグデータから読み取る消費者ニーズの開拓

「ビッグデータ」という手段
 ⇒しかし、それを活用したビジネスの絵をどれだけの人が描けているか?
  ⇒ビジネスプロセスこそ重要!

○ITに対する決済は、CIOよりCTOの方が多くなっていく
 ⇒「マーケティング」の意味が、「宣伝」から本来の意味でのマーケティングになっている
  ⇒顧客の創造

# このセッションも面白くなかった。プライベートDMPの話も出ない。
# 結局、ビッグデータはERPパッケージと一緒で売上に貢献するか解らないけど、何か取り組まなければならないもの程度の話ではないのか?





これが通販王国、九州が誇る最強ダイレクトマーケティング!

レオさんが言っているのは「売り方」のモデル。
# 売れるではないけど、何度も聞いたら、それで売れる気になってしまうね。

ダイレクトマーケティングには、二種類ある。

①ワンステップ型 ⇒⇒⇒⇒購入(東京モデル)
②ツーステップ型 お試し ⇒購入(九州モデル)

②の場合、色んなメリットがある。

1. スモールスタートが可能
2. ブランドに左右され難い
3. すでに「売り方」のモデルは確立されている


○確立された九州モデルに対して、東京モデルはアップセルを大切にする。
 ⇒年間売上=リピート率×売上
  ⇒売上=訪問者数×購入率×客単価
 ⇒この数式では顧客の状態が見えない!

○どこに着手すれば売上は一番上がるか?
 ⇒リピート率
  ⇒これしかない
  ⇒ブランド認識を強化することで、定期的な売上向上を狙う

アドテック九州 カンファレンスまとめ(個人的感想含む)1日目

オープニングキーノート:「会話」から「コンバージョン」まで

最初に質問。
facebookを代表する「ソーシャル」は、マーケティングできるのか?

○その昔は、全てが近場で完結した。
 ⇒革命が距離の概念を縮め、今や「距離」は無くなった。
  ⇒産業革命、生産革命、IT革命(ECでは遠く離れた地の商品も買える)

○距離の概念が無くなった結果、マーケティングの概念も変わった。
 ⇒顧客は、目の届く範囲では無くなった。

○ウェブ上のバーチャルな意味での「個人」が重要。
 ⇒「ソーシャル」とは、ネット上での「私」の分身を指している
  ⇒ネット上(facebook)には、私の情報が溢れている。
   ⇒なぜなら「私の分身」だから!

⇒すなわち、「ソーシャル」とはウェブ上の個人であり、
  facebookとはマーケティングにおける重要なプラットフォームである。

⇒マーケティングとは、営業せずとも顧客が商品を購入する為の手段であり、
  したがってウェブ上の個人のプラットフォームであるfacebookは、今までに無いものである。


「私の分身」をランク付けするために、最近はリタゲもやっている。
facebook内で完結するプライベートDMPや、ダイレクトマーケティングのための「conversion pixel」という計測タグも始めた。

見込み客⇒コンバージョン⇒優良顧客⇒インフルエンサー

この漏斗図を、facebook上だけで実現することができる。
重要なことは以下の3つ。

①ラストクリックだけで観るな。広告で観るのではなく、顧客を軸にして分析しろ
②?(何言っているか解らなかった)
③ファンの数を可視化しろ。KPIにもなる。

重要なのは、対話からインフルエンサーになるまでの漏斗図であり、顧客体験である。
個人を対象としたマーケティングは、もはや広告を出稿するに留まらない。





ダイレクトマーケティング最前線2013

競争の激化するEC業界。

求められているのは「差別化」であり、
集客⇒購入⇒継続のプロセスを社内で「勝ちパターン」化させること。

例)継続のために、顧客を「えこひいき」したっていいじゃないか!


○環境が劇的に変化しても、生き残るためには?
 ⇒人材育成が急務
  ⇒障壁が低いということは、リテラシが無い人間でもそこそこできる
  ⇒2年に1回吹く大風で飛ばされない人材を社内で育成するべき
 ⇒データを漏らさず取る
  ⇒現状を把握できなければ、良くすることはできない
   ⇒新規/既存
   ⇒サイト訪問者の質
   ⇒検索
   ⇒購買前行動
 ⇒しかし、そのために単純にツール使ってもダメだよ?
  ⇒目的は「企業の永続」であり、ツールがあってもダメ、使いこなせないと。

○以前は、ECは初期投資が多かった
 ⇒AWSやオープンソースにより初期投資コストは劇的に下がってきた
  ⇒利益の出易い時代となった

※勘違いしてはいけないのは、ECだから商品が売れるのでは無い
 ⇒ネットはあくまで「距離の概念を無くす」ものでしかなく、物がよいから売れるのだ


もっともリソース投下の重要性が高いのは、顧客との関係構築
 ⇒CRMは、ソーシャルな時代にその役割を担えきれなくなっている!
  ⇒情報発信で「売上」があがるわけではないが、「関係構築」のためには良い
  ⇒双方向性!

今後求められるのは、「技術の選抜」であり、「KPI設計」である。
 ⇒何を事業の目標にするか?
 ⇒そのために、どのようなシステムを扱うか?





ディスプレイ広告におけるダイレクトレスポンスとCPOの関係とは?


通販において、集客の「裾野」は広がる一方である。
 ⇒リスティング、アフィリエイト、最近ではDSP(純広)まで。

○「枠もの」と「DSP」の違いを理解しておく
 ⇒同じ純広だが、「DSP」は言い方を変えればバルク債権である
 ⇒DMPと一体化することで、枠でなく人にお金を払う、言わば付加価値をつけた意味は大きい

プライベートDMPは、内部データしか持たないECにとって、
外部データと突き合わせることで顧客情報の乖離を無くす重要な存在。

⇒顧客との関係構築に欠かせなくなるだろう。

# このセッションは外れでした。
# こういうのは、アドテック東京でやればいいんだよ。





ブランディング・キャンペーンにおけるレスポンスと売上の関係

TVの威力は未だ大きい。
 ⇒TV出航で「ブランド」指名検索数が3倍に膨れた!
  ⇒リーチ力、信頼、強制接触という強みを持っている

○ではブランドとは何なのか?
 ⇒消費者の頭の中に形成されているもの
 ⇒顧客に対して、企業発信により積み重ねられてきたもの
  ⇒ある種、方向性が定義され、マインドセットされている

○認知度が上がると、レスポンス数は上がるのか?
 ⇒分母が増えると分子が増えるなら、率はどう変わっているか確認
 ⇒重要なのは、ネットでは「数字」で計れること!
  ⇒これはインターネットの強みであるが、マーケティングにとっては弱みである。

ブランドは永続性のあるものである。
 ⇒企業は、次の2つを「マーケティング」している。
  ⇒将来の顧客の育成
  ⇒明日の顧客を今日刈り取る(レスポンス系は主にこっち)

つまり、「マーケティング」とは
 ⇒ブランディング(明日の創造)
 ⇒レスポンス(営業の代わり)

広告の求められる役割は、状況に応じて大きく異なっている!!
レスポンスを求めることは重要だが、明日の利益を奪ってはいないか?





通販ビジネス実践解説:成功するECサイトモデルとは?

ライフシーンに応じたデバイスの登場。
ECサイトの中でも、スマホ、PC、タブレットと対応領域が変わってきた。

○売上をあげるために必要なことは?
 ⇒全体を俯瞰すること(局所的にならないこと)
 ⇒クリティカルチェーンから潰していくこと
  ⇒エラーを分析する
  ⇒ライオン株式会社の場合、たった5人で年間360回のバージョンアップ

改善にゴールは無い。
常に変化して、ベストな形を追求する。
 ⇒そのために分析が必要
  ⇒アクセスログ
  ⇒これも「人」の「行動」の1つ

自社に合った、状況に合った、成功法則を創り上げる!
 ⇒通り一辺倒な改善では全く役に立たない
 ⇒付加価値を上げるには、顧客の価値を理解する
  ⇒顧客からヒアリングを行い、価値を理解する活動が重要